真一さんの体験談
僕はプラネタリウムを見るのが好きで、休みの日にたまに一人で見に行くことがあります。
夜勤明けの日なんかに入っちゃうと眠くなって、そのまま上映時間中ずっと寝てたりもするのですが、基本的には星が好きなんです。
宇宙とかにも興味があります。結構星座のことにも詳しくなったので、女の子と一緒に星を見に行って、あれが何座だよなんて教えてあげられたり、なんてことも思うのですが。なかなか実現しませんね。
その日も一人でチケットを買って、薄暗いドーム内に足を踏み入れました。
「わあ、意外と広いね」
「あたし寝ちゃうかも」
他の客の静かなざわめきが耳に届きます。座席に腰を下ろした人たちは友人と小声で話したり、スマートフォンを確認したりしていました。上映が始まったらスマホは見られなくなりますから、今のうちにマナーモードとかにしているのでしょう。
子ども連れの家族もちらほら見えます。幼い声が興奮気味に響きました。やはり子どもはプラネタリウムが好きなんでしょうね。ですが周囲の落ち着いた空気に感化されてか、次第に子どもの声も小さくなっていきました。
天井を仰ぐと、まだ何も映し出されていないドームが広がっていました。淡い光がうっすらと照らすその曲面は、まるでこれから始まる星空を待ち受けるキャンバスのようですよ。どうも僕も、夜空を見上げる詩人のような気分になってきました。
場内の真ん中の方に鎮座する投影機は、無数のレンズと細かい機構を備えています。これもまるで静かに眠る機械の巨人のようにたたずんでいます。訳知り顔で僕は設備を見て頷くのでした。
「もうすぐ始まるね」
誰かが言いました。
やがて、場内に流れる音楽が少しずつ音量を落として静寂が訪れます。
上映を告げる係員の声が響き、注意事項の後でこれから始まる星の旅の案内が告げられるのです。僕もそうですが観客たちは自然と姿勢を正して期待に満ちた目をスクリーンへ向けます。
ゆっくりと照明が落ちて闇がドーム全体を包み込んでいきます。その瞬間、誰もが息を飲みました。
そして一筋の光が天井を横切り、星々がゆっくりと姿を現し始めます――。
チョロオオオオッ……♡
「あ、あ、あぁぁっ♡ だめぇっ……♡」
プラネタリウムに似つかわしくない、何かの水音がしました。そして女の子らしきか細い声。
床に向かって何かが流れ落ちているようです。前の方の席がざわつき始めました。

「ごめんなさいっ、あ、だめ、ああぁ……♡♡」
ちょうど惑星の軌道を表してから木星のアップになるところで、一瞬場内が少し明るくなりました。
僕も前の方を見ると、中学生ぐらいの女の子が立って、なにやら目の辺りを押さえています。
「が、我慢できなくて、あたし、トイレに、そのっ」
立って喋っている人がいては上映になりません。係員らしき人が2人、女の子の方に向かいました。
そして懐中電灯の光で足元だけを映し、女の子を連れていきます。いったん外に出てもらおうということでしょうか。
前から後ろの方にある入り口の方へ、係員と女の子が歩いてきます。僕の横を通ったとき、甘酸っぱい臭いと、ピチャピチャという足音がしました。臭いはきっと、おしっこです。そして自らのおしっこを踏んだ靴音がピチャピチャと音を立てたのでしょう。
「大丈夫かしら」
誰かのささやき声がします。僕はさっきの女の子のお漏らしのことに気を取られて、正直言ってプラネタリウムに集中できませんでした。
50分ほどの上映が終わり、僕は出ようとする客と逆方向に歩き始めました。
何をするかって、決まってるじゃないですか。清掃員が入った様子はなかったので、女の子のお漏らしの後を間近に見るチャンスです。
期待通り、底には少し黄色がかった水たまりが残っていました。
「おお、これはいい」
写真を撮りたくなる衝動をかろうじて抑えました。後ろからモップを持った係員が近づいてくるのが視界の端に見えたからです。
僕は勃起しながらその場を後にしたのでした。
それからのプラネタリウムは、僕にとっては単に星を見るだけでなく別の楽しみも増えたことになるのですが、あいにくお漏らし現場にはなかなか遭遇できずにいます。



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